MotoGPでヤマハと2026年まで契約を延長したファビオ・クアルタラロは、2023年限りでマルク・マルケスがホンダを離脱した結果、ヤマハ内部のスタッフが“目覚めた”ことも、残留の判断に活用されたと語った。
4月初旬、ヤマハはクアルタラロとの契約を2026年まで延長したことを発表した。これまで、クアルタラロは低迷するヤマハを離れる可能性が取り沙汰されてきたが、彼はヤマハに留まることを決めたことになる。
■苦境が好転しないホンダ、チーム側も予想外? 「理論的には良い改善をしているはずなのに」と困惑
このクアルタラロの判断の背景にはマルク・マルケスが、2013年に最高峰クラスデビューを果たして以来6度もMotoGPチャンピオンに輝いてきたホンダを、2023年限りでついに離れる決断をしたということの影響もあったようだ。
マルケスの離脱は、ライダーにはたとえ実績を積んできた馴染あるチームであろうと、競争力のあるバイクを求めて離脱を選ぶ意思や可能性があることを改めて示すことになった。
そしてクアルタラロは、マルケスがグレシーニへと移籍したことで、ヤマハのメンバーの“目が覚めた”と考えており、それによる内部の変化が自分にとっては興味深いものだったと語った。
「たくさんのひとが待っていた瞬間だよ。僕の選択は、ヤマハに留まることだった。それが既定のモノなわけではなかったけど、プロジェクトの為に残ったんだ」
クアルタラロはCanal+にそう語った。
「僕はマルケスがホンダから離脱してドゥカティ陣営に移ったことが、ヤマハの多くの人を目覚めさせたと思っている」
「彼らは多くの新しいエンジニアをリクルートして、日本よりもイタリアで多くのことが起こっているんだ」
「パーツの変更のスピードも完全に変わった。そういった点は、僕がヤマハで続ける上でも興味深いものだったと思う」
ただクアルタラロが2026年までのヤマハ残留を選んだことに対しては、疑問視する声も多々ある。
ヤマハは新たな人材を獲得し、チームとしての哲学を変え、MotoGPプログラムを徹底的に見直ししている。今シーズン適用されている優遇措置も活用を進めているが、それらの成果がコース上で発揮されるかどうかは、まだ分からない。
クアルタラロ自身、他チームへの移籍を考えていたことは認めている。しかしヤマハが改善のために投じているリソースの大きさを見て、残留の判断に傾いたという。
「もちろん、そういったもの(クアルタラロの判断への疑問)はちゃんと理解している。だって僕ですら数ヵ月前は、本当に別のチームへ移る準備ができていたからだ」
「どこと言うつもりはない。でもヤマハはより優れたバイクを手にするために巨額の投資を行なっている。このプロジェクトへそれほど投資をしている、唯一のメーカーだと僕は思っている」
「今年はもう既にいくつか改善が見られると思う。とても難しい1年になるとは思うし、表彰台を争うのも大変だろう。それでも、僕はこの1年間が次の2年に向けてとても大事になると思っているんだ」
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みんなのコメント
チャンピオンライダーの成功体験で今のヤマハをどうにか出来るとは思えない。それは、天才ライダーのマルクが常勝のドカに乗ってもちょっと天才感覚が出た途端にギクシャクして最悪転倒したりするのを見ると現在のホンダの迷走も納得できる気がする。
「このマシンで勝てないのはライダーの問題!」と、きっぱり言えるマシンの姿を開発・製作・運営エンジニアがイメージ出来ていなかったり考え方がバラバラなメーカーでは難しい。
もう一度、世界最高峰のGPマシンはどうあるべきかをヤマハ社内で確立できない限り良い成績は期待出来ないだろう。
最後にECUでバイクを走らす、制御する考えを持ったエンジニアを中心に改めてマシン製作の理念までも見直す覚悟が無いと難しいのかも知れません。